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ここでの“ボンサイ”とは「盆栽」と「凡才」との二つの意味を含みます。盆栽のように、マシンをカスタマイズすること自体を楽しんでいる凡才人のブログです。

標高1,709m [旅日記]

先週末は実家を基点に、伯耆(ほうき)富士こと大山(だいせん)に登ってきた。
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ダイセンキャラボクが実を付けるこの時期に登頂しようと昨年も登山口まで訪れたが、昨年は雨と風のために断念した。
今年はそのリベンジを計画していたところ、旧友たちが山登りを始めたので誘ってみた。
山頂の風は冷たかったけど、秋晴れの空の下で楽しいハイキングであった。

ダイセンキャラボクというのは大山に自生するイチイの一種で、山頂付近の群落は国の特別天然記念物に指定されている。
9月から10月にかけて赤くて小さな実を付ける。
大山には中高生のころに学校行事も含めて何度か登りに来たことがあるが、たしかいずれも初夏だったと思うし、その当時はダイセンキャラボクに興味を示すはずもなかっただろう。
一昨年から全国47都道府県の一番高い山の頂を歩くという1人遊びを始めて12府県目。
大山はこのダイセンキャラボクにこだわってみた。
誘った旧友は盆休み恐羅漢山(おそらかんざん)でキャンプ&ハイキングを供にした2人である。
とある壮大な山登り計画の練習という体でわたしの大山ハイキングにつきあってもらったのだが、体力的にはわたしがいちばん心許ない。

今回は諸事情があって、うちのクルマやバイクは基地待機。
実家から電車で米子まで行き、米子駅から「大山るーぷバス」というコミュニティバスを利用した。
米子駅前を基点に、大山の裾野に点在する観光施設を周回するルートで春から秋にかけて運行されている。

米子市内から見る大山には大きな笠雲がかかっておもしろい姿を見せている。
バスの車窓からその姿を撮影していると、運転手さんがもっといい撮影ポイントがあると教えてくれた。
運転手さんが話してくれる地元にまつわる逸話を聞きながら到着したのは上田正治(しょうじ)写真記念館。
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ここからなら電線がかぶることなく、大山の全貌をフレームに納めることができるのだそうな。
ここで乗降する客はなかったが運行ダイヤよりも早く到着したこともあり、運転手さんの計らいでバスから降りて撮影させてもらえることになった。
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大山るーぷバスの運転手さんに感謝。運用されていた車種は日野メルファの路線バス仕様。

上田正治は福山雅治が師と仰いだ写真家なのだが、福山ファンのおばちゃんが「大山るーぷバス」を利用して上田正治の墓を磨きに来たこともあるのだそうだ。
それはともかく、建物の向かっていちばん左の箱には小窓があり、ピンホールカメラの原理で内壁に大山の姿が映し出されるのだとか。
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これはぜひ、カメラ小僧の端くれとして一度は訪れなくてはね。

バスはブナの森を抜けてまっすぐに大山に向かう急勾配の道を、ガーッとエンジンうならせながら登る。
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このへんの景色はわたしが子供のころから変わらないなあ。

9:14、定刻通りに「大山寺」バス停に着き、待ち構えていた友人たちと合流した。
今回は北西尾根を直登する「夏山登山道」で山頂避難小屋まで行き、昼食をとって下山開始。
6合目付近の分岐「行者別れ」から「行者谷コース」で大神山(おがみやま)神社へと下りる。
登り、下り、共に3時間ぐらいの行程か。
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バス停から5分ほどの登山口に向かうと、南光河原を渡る橋のたもとで「一木一石運動」の石を配っていた。
ハイキング客が登ることで転がり落ちる石を補充する石や、木道を補修する木材をハイカー一人一人の手で運び上げようという運動である。
わたしが中学校の遠足で登った際にも、南光河原で拾ったゲンコツぐらいの石をリュックに入れて登らされたっけな。
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準備を調え、9:20ごろに登り始めた。
昔は真砂土の斜面を登ったはずだが、現在の夏山登山道は延々と階段が続く。
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初めは石段で、すぐに不規則な丸太の段差になる。
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3合目付近には、大きなブナの木を回り込みつつ、両脇が切れ落ちた鞍部を歩くプチ“キレット”になっていて、一人分がやっと通れる幅の場所があったように記憶しているが、土が盛られたのか、人がすれ違えるぐらいの幅が確保されて砂利が敷き詰められていた。
整備されて安全に歩けるようになったのはいいが、階段はいただけないなあ。
膝を高く上げて一段一段、わっしょいわっしょい登るとすぐに息が上がる。
普段は机仕事をしていて運動不足のわたしを尻目に、友人たちは涼しい顔である。
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4合目付近で出迎えてくれたのは、たわわに実を付けたナナカマド。

11:10ごろ、6合目避難小屋に到着。
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この距離から眺める北壁はいっそう険しくみえる。
ここから背の高いブナの木が減り、視界が開けるところも多くなる。

わたしのペースに合わせてもらって休み休み歩き、11:50ごろにようやく8合目の木道に到達した。
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ここからは勾配も緩くなり、板の上を自分の歩幅で歩けるから楽だ。
木道の脇にはダイセンキャラボクの純林が広がる。
昔の記憶とだいぶ違うなあ。
もっと荒涼としていて、木道もなかった気がするな。

初めはなかなか実を付けた株を見つけられなかったが、9合目を過ぎたあたりからぽつりぽつりと赤い実をみつけられるようになり、山頂付近に近づくにつれてその数が増えていく。
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いやー、よかったよかった。
まだ時期が早かったかとがっかりするところだった。
これで今回の目的のひとつは達成できた。

12:15ごろ、予定通りに山頂避難小屋に到着。
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遠方には米子から境港へ延びる弓ヶ浜が見える。
うっすらと中海の一部も見えるが、子供のころの記憶では、島根半島まで見渡せるほど空気が澄んでいて地図の通りの海岸線を見下ろせたことに感動を覚えたっけな。
朝の笠雲は消え去ったが、西から吹く風が強くて山の斜面を上がる風がときおり雲を作り出す。
爆弾低気圧が通り過ぎたおかげで空気中の塵が洗い流されて、子供のころに見た景色に再会できるかと期待したが、さすがにそこまで都合よくはいかなかったか。
避難小屋の周りは昔に比べるとずいぶんと緑が回復したようだ。
中学校の遠足では6クラス、およそ200人がここで昼食をとったはずだが、草の生えていない広場に思い思いにレジャーシートを敷いて座っていたっけな。
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じっとしていると寒いので、持ってきた石を石置き場に置いて避難小屋で昼食をとることにした。
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避難小屋の中はトイレに並ぶ人で大盛況。

わたしたちは1階の板の間に上がって弁当を広げた。
今日の弁当は前日に桝水高原で買ってきた「大山おこわ」。
大山で採れたという栗や山菜、地元の米を使った郷土料理である。
残念ながら、写真を撮り忘れた。

大山で一番高い峰は富士山と同じ剣ヶ峰(1,729m)という峰だが、夏山登山道のルートで歩くことができるのは弥山(みせん)(1,709m)まで。
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剣ヶ峰まで延びる吊り尾根は立ち入り禁止になっているが、たしかにこれは相当危険な香りがする。
友人たちとの会話も弾み、食後に山頂で記念撮影しながらたっぷり1時間あまりの休憩ののち、13:20ごろに下山を開始した。

14:20ごろ、行者別れを通過して行者谷ルートへ下る。
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夏山登山道よりさらに急勾配の階段ルートだ。
ここを下る分には体力よりも経験がものを言うようだ。
わたしは体を横向きにして、前後に脚を開くような格好で淡々と下るいっぽう、友人たちは「膝にくるー」と音を上げている。

14:50ごろ、南光河原の上流を通過。
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真っ白な丸い石がゴロゴロとした河原は紅葉真っ盛りの時期に来ると最高なのだ。

15:20ごろ、大神山神社に到着。
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下りは思ったより早かったが、山頂での休憩が長かった分、下山時刻はほぼ予定通りといったところか。
友人たちのおかげもあって、昨年のリベンジは最高の形で果たすことができた。

(GPSロガーの電池切れのため、歩行ログは下山の途中まで)

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さて、来月は紅葉真っ盛りのころに、兵庫県で一番高い氷ノ山(ひょうのせん)に登るとしようかな。
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コメント 2

わたべ

全行程6時間、休憩込で7時間ですか。
私の体力の限界を超えてますね。
大山は、標高からいって森林限界を超えてるとは思えませんが、高山の雰囲気がありますね。
by わたべ (2015-10-08 18:59) 

nozzy

大山は難易度が低いほうではありますが、なかなか体力を使いますね。
階段もきついですし。
大山では6合目の1500m付近が森林限界のようです。
このあたりでブナの森が終わり、山頂付近のダイセンキャラボク純林は亜高山帯になるそうです。
おっしゃるとおり、山頂付近は大きく切れ落ちて、北アルプスの高峰のようですね。
by nozzy (2015-10-09 12:51) 

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