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ここでの“ボンサイ”とは「盆栽」と「凡才」との二つの意味を含みます。盆栽のように、マシンをカスタマイズすること自体を楽しんでいる凡才人のブログです。

雪月花に乗ってきた [旅日記]

去る2月27日はヨメの誕生日。
誕生日プレゼントの小旅行という体裁で、えちごトキめき鉄道(以下、トキ鉄)が運行する観光列車「雪月花」に乗ってきた。
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新潟県にまん延防止等重点措置が発動してしまったため、残念ながら車内での酒類の提供はなくなってしまったけれど、冬の新潟を堪能してきた。

出発は乗車日の前日、米原発8:57の特急「しらさぎ」1号。
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「しらさぎ」に乗るのは立山に登りに行ったとき以来だから、8年ぶりか。

雪月花を予約したのは昨年の10月ごろだった。
まだ横浜に住んでいて、滋賀に引っ越してくるなんてことは計画に入っていなかったころだ。
「雪月花」の始発駅である糸魚川まで、ついでに大糸線を全線乗車するつもりだったけど、計画を変更して富山で寄り道することにした。
終点の金沢まで「しらさぎ」に乗り、金沢から北陸新幹線で富山まで。
しらさぎからの車窓は8年前とは異なり、新しく作られた新幹線の高架が視界を覆う。
次に鉄道で北陸に来る頃には、敦賀から新幹線に乗り換えという旅程になっているだろうか。
新幹線で鉄道旅が便利になる一方で、在来線の景色は残念なことになってしまうのは複雑な心境である。

雪景色の北陸線。
大学受験の帰りに夜行急行「はまなす」から乗り換えて、特急「白鳥」に青森から新大阪まで乗ったなあ。
30年前のあのころ、消雪散水の中を走る419系電車の姿は今でもまぶたに浮かぶ。
そんなノスタルジーに浸っているうちに、あっという間に富山に到着。
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富山駅の南北を貫通する路面電車、8年前はまだ開通してなかったなあ。
路面電車に乗りたい気持ちが後ろ髪を引きつつも、今回の旅はヨメの誕生日プレゼント。
富山に寄ったのは白えびとホタルイカをヨメに食わすためなのである。

駅ビルの「とやマルシェ」に店を構える「白えび亭」に立ち寄って、昼間からビールと白えびの刺身とホタルイカの甘酢漬けを注文。
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ビールを頼んだら、お通しにホタルイカのしぐれ煮も付いてきた。ふひひ
白えびの刺身は濃厚な旨味が口に広がって、醤油をつけずにいただける。
これはもう、お刺身の天使や〜!
ホタルイカ、刺身や沖漬けを食べたことがあるけれど、実はあまり得意ではなかった。
生の牡蠣を食べたときに感じる、金属味のような苦みが好きではないのだけど、甘酢漬けはそういったイヤな部分が抑えられて箸が進む。
そして、ヨメが白えびのかき揚げ丼を注文した一方で、わたしは富山スペシャル天丼を注文。
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白えびやホタルイカはもちろん、ブリの天ぷらまで載っている。
ブリの天ぷら、初めて食べたけど脂がのった切り身を油で揚げるなんて、これはもう悪魔的な美味さ。

富山の海の幸で満腹。
一息ついて、あいの風とやま鉄道に乗って糸魚川へ向かった。
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途中、泊駅でトキ鉄の普通列車に乗り換える。
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やってきたのはET-122形の気動車だ。
この路線、元はJRの北陸本線で、全線が電化されいてJR貨物の電気機関車だって走っているのだけど、トキ鉄の旅客列車には気動車が使われているのである。
それは、路線の途中に直流電気と交流電気が切り替わる区間があるせいで、電車を走らせようとすると、両方の電源方式に対応できる交直両用形の電車が必要になるからなのだ。
交直両用電車は車両の製造コストが高く、第三セクターのトキ鉄にとっては導入しがたいという理由から、トキ鉄が保有する路線のうち、かつて北陸本線だった「日本海ひすいライン」を運行する車両には気動車が用いられているのである。
観光列車の「雪月花」も気動車で、外観はまったく違うが、車両型式はこの普通列車と同じET-122形である。

糸魚川駅には14:19に到着。
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ホテルから迎えが来るまでにたっぷり時間があるので、タクシーでフォッサマグナミュージアムへ向かった。
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ブラタモリで何度か紹介された糸魚川静岡構造線、通称「糸静線」はフォッサマグナの西の(キワ)
かつては海底だった地層では海の生き物の化石が発掘されたり、糸魚川市の中心を流れる姫川ではヒスイが産出されたりと、糸魚川は地質的に興味深い土地のひとつだ。
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フォッサマグナミュージアムの展示はなかなか見応えがあり、入場料が500円(モンベル会員は400円)とは思えないぐらいおもしい内容だった。
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ひとつひとつの展示にじっくり魅入られていると、6つに分けられた展示エリアの4つめあたりで時間いっぱい。
5つめと6つめは糸魚川とは直接的な関連がない内容のようだったので飛ばして見ながら出口に向かった。
16:00にはタクシーに乗って糸魚川駅に戻らなくては、ホテルから迎えに来てくれている車を待たせてしまう。

16:15にホテルの送迎車に乗り、笹倉温泉 龍雲荘に向かう。
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道中で見えた山々は焼山や火打山だろうか、富山から見る立山連峰に負けず劣らずの絶景だ。
こんな景色が毎日見られるなんて、うらやましい街だだなあ。
糸魚川駅から約30分、雪深い山間にあるホテルに到着。
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積雪量は2mぐらい。
冬の新潟県で宿に泊まるのは、スキー旅行で小学生のときに来たとき以来だな。
こんなに雪が積もっているのを見るのは北海道でもめったになかった気がするな。
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ホテルの窓から見える山は鉾ヶ岳かな。
夕日に映えてなかなかの絶景だ。

温泉の泉質は肌の角質を溶かしてくれる、つるつるすべすべ系の美人の湯。
雪深い山間で雪見温泉…と、しゃれこむつもりが雪が深すぎた。
窓の外を見ても露天風呂に出ても、雪の壁しか見えない。

夕飯はアンコウを中心に、糸魚川の海の幸をたっぷりいただいた。
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糸魚川の地酒もいただいて、至福のひとときであった。

翌朝は10:00にチェックアウトなので、ゆっくりと身支度をしていたら、バチバチとみぞれ混じりの雨が窓を叩く。
風もゴウゴウとうなっていて、今日の雪月花の運行に影響がないか心配になってくる。
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糸魚川駅に着くころには雨風はいくぶんか弱まり、トキ鉄の運休はなさそうだ。
雪月花の発車時刻までは1時間あるので、駅の1階にある「糸魚川ジオステーション ジオパル」に立ち寄ってみた。
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キハ52の実車のほかに、糸魚川駅を再現したNゲージや、姫川沿いの大糸線を再現したと思われるHOゲージのジオラマも展示されている。
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500円を払えばこれらの鉄道模型を30分間操作できて、先頭車両に備えられた小型カメラの映像をモニタで楽しむこともできるのだそうだ。
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この419系が借りられたら500円を払ってたなー。

ジオパルで良い時間つぶしができたので、雪月花の出発ホームに行ってみた。
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相変わらず風が強く、空は鉛色。
これはこれで、日本海らしい荒波も見れたりして悪くないかもな。
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この日の雪月花は冬季特別運行の「高田コース」。
普段は途中で駅を出て観光施設を巡る旅程は含まれないが、「高田コース」は高田駅で観光バスに乗って高田城の城下町を案内してもらえるのだ。
車内の食事は糸魚川の割烹「鶴来家」がプロデュースする和食の三段折詰で、通常運行の糸魚川発で出されるものと同じものようだ。
2016年12月に糸魚川市の中心で発生した大火災に巻き込まれて全焼した鶴来家だったが、被災直後も変わらず雪月花への提供を続けていたというのだから頭が下がる。

そんな料理をいただきながら、日本海の沿岸を行く雪月花。
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車窓も楽しみたいけど、料理にも集中したい。
長いトンネルの中が料理に集中できるチャンスだが、11:50には頸城トンネルの途中にある筒石駅に停車する。
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7分しか停車しないので急いで列車を降りて階段を駆け上がる。
290段、高低差176mを一番上まで上って帰ってくることはムリだから、時間を見ながら行けるところまで行って帰ってきた。

寒いのに汗だくになり、息も絶え絶え。
呼吸が整ったところで、ようやく料理を楽しむ時間である。
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どの料理も繊細で優しいお味。
ベニズワイガニのちらし寿司を一口食べたらカニの旨味が口いっぱいに拡がったのが一番印象に残ったな。
いつか機会があれば、今度はお店で食べてみたいものだ。

おいしい折詰も空になるころ、12:17に直江津に到着。
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ああ、思い出の直江津。
トワイライトエクスプレスで札幌に帰る途中、富山駅のホームでますの寿司を買っていたら発車時刻に間に合わず、特急「雷鳥」でトワイライトを追い越して直江津で待ったあの冬の夜。
コートもトワイライトの座席に置きっぱなしだったから寒かったなー。
富山と違って、直江津駅のホームはあの日のままの面影が残っていて、ちょっと切なくなってくる。

11分間の停車ののち、雪月花は方向を変えて妙高はねうまライン、かつての信越本線を高田に向かって進む。
直江津から10分弱の11:37に高田駅に到着。
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駅のホームでは市民団体「雁木のまち高田おもてなし隊」が「トンビ」や「角巻」に身を包んでお出迎え。
トンビは男性が着ているコートで、角巻は女性が羽織っているブランケットのような防寒着。
なんか、水木しげるの漫画に出てきそうな爺様もいるな。
あとで試着させてもらったけれど、ヨメによると角巻はとても暖かいらしい。
トンビは普通のコートの暖かさかな。袖がないのでジャケットの上から着ても動きづらくならないのはいい。

高田の街では高田城の堀に沿ってバスで一周したのち、明治時代に立てられた高田世界館という映画館を見学。
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建設当時は芝居小屋として建てられ、のちに映画館となって、現在でもフィルム映画の映写機が現役で稼働している希少な映画館である。
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つづいて、瞽女(ごぜ)ミュージアムを見学。
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瞽女とは盲いた女性が3人一組になってこの地域の農村で巡業し、三味線を弾いて唄う旅芸人で、わたしが生まれたころまで存在したのだとか。
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大島渚が監督したというドキュメンタリーもDVD化されているので一度通して観てみたいが、5000円弱はちと高い。
VOD配信とかないかなぁ。

さて、高田駅に戻って14:22に発車。
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ここでデザートの時間だ。
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地元のスイーツと雪月花オリジナルブレンドのコーヒーに加え、オプションのバースデーケーキ。
ヨメも喜んでくれたようで、なによりだ。

列車は終着駅の上越妙高をいったん通過して二本木駅まで走る。
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ここは新潟県で唯一のスイッチバック駅で、かつて蒸気機関車が走っていたころ、勾配の途中に駅を設けると発車できなくなってしまうため、駅構内を平坦にするためにスイッチバックにしたのだとか。
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それにしても雪が深い。
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左に直江津から上ってくる線路があって、その先に雪囲いがあるのだが、この写真では雪が覆っていてよく見えないな。

15:21に上越妙高まで戻って雪月花の旅は終了。
上越妙高で地酒や地ビールを買って、雪月花で呑めなかった分を新幹線の車内で補いながら、金沢でまた特急「しらさぎ」で米原まで帰った。
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たっぷり遊んだ週末であった。

さて、次はどこへ遊びに行こうかな。
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あおたけ

奥さまのお誕生日に富山や新潟へご旅行、
トキ鉄の「雪月花」に乗車されるなんて
鉄道好きらしい粋なバースデープレゼントですね(*´▽`*)
奥さまも喜ばれたことでしょう。
鮮やかな赤い雪月花のカッコよさもさることながら、
まるでおせち料理のようなお重のお弁当が
豪華で美味しそう~!(*'▽')
お酒が飲めないのが辛いところですが、
車窓を眺めながらいただく美味しいお弁当を
堪能できたことと思います。

by あおたけ (2022-03-08 08:03) 

nozzy

独りだと「雪月花」に乗りに行くのは腰が重くなるところですが、良い口実ができました。
ちょうど冬季特別運行の日だったのもよかったです。
横浜からだと大糸線のほか、しなの鉄道の軽井沢リゾート号にも乗る計画だったのですが、それが叶わなかったのがちょっと心残りでした。
by nozzy (2022-03-09 22:10) 

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