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ここでの“ボンサイ”とは「盆栽」と「凡才」との二つの意味を含みます。盆栽のように、マシンをカスタマイズすること自体を楽しんでいる凡才人のブログです。

能登半島の先っぽツーリング [ムルティストラーダ日記]

キバナコスモスが咲く季節、関東甲信には梅雨の足音が聞こえてきた週末に、能登半島まで三密(だんみつ?)を避けてひとっ走りしてきた。
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出発は早朝4時をまわったころ。
前日に近所を歩いていて右足首を痛めてしまい、リヤブレーキを踏むのにギクシャクする。
ここのところの在宅勤務で、運動不足がたたったか。
出かけるのをやめようかという考えも頭をよぎったが、ホテルのキャンセル料が宿泊料の100%になってしまう。
まったくブレーキを踏めないわけではないから、慎重に走らせることにして決行した。

東名、圏央道、中央道と乗り継いで大月ICで途中下車。
甲州市の上日川ダムに寄り道してみた。
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朝の早い時間に山梨県道201号、大菩薩峠のくねくね道を楽しんでから北陸に向かう算段であった。
しかし肝心のくねくね道は災害復旧工事で通行止め。
わたしがいちばん好きなダム形式であるロックフィルダムを見物するだけで引き返した。
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さて前回のブログ記事でご紹介したバイク用ドライブレコーダー、ミツバサンコーワEDR-21。
今回のツーリングはこいつの運用方法を模索しつつ、レビューをお届けしようと思う。

まずはじめに、機能と性能については必要充分。
ドラレコを導入した目的は果たせているし、画質も満足。
Wi-Fi経由で録画データや本体設定を取り扱うためのスマホアプリも使いやすい。
あえて難点を挙げるとすれば、スイッチが硬くて節度感がない点か。
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乗用車用向けの製品と違って、防水性や耐震性が求められるので操作が硬いのはしかたがないのだが、節度感がないのはいただけない。
ギューッと押しても古くなった消しゴム潰すような感触しかなくて、操作できたかどうかわかりにくい。
硬くてもボタンストロークがあって、カチッとクリック感があればいいのだが…

それから、この製品に限った話ではなくドライブレコーダー全般のハナシとして、常時録画と衝撃録画を同時に有効にできる機能は必要性を感じない。
むしろ無い方が良い。
もちろん、それぞれ一長一短があるはずなので、どちらかの録画方法を選べるのは良いことだ。
たとえば常時録画は記録媒体(SDカード)に常にデータを書き込む動作を繰り返すので、記録媒体の寿命を縮めるという欠点があるかもしれない。
一方で、事故やあおり運転による案件が起きた瞬間はもちろん、そのタイミングのずっと前から録画されているわけだから、案件が起きたときに直近のデータを保存すれば衝撃録画を同時に有効にしておかなくても証拠は残せる。
衝撃録画を有効にしておくとデータが別フォルダに保存されたりして、あとからデータを整理するのに一手間かかってしまう。(わたしが使っている2機種の製品だけかもしれないけれど)
常時録画と衝撃録画のデータを切った貼ったして一本にまとめたのがこちらの動画。
山間部の県道をただただ走っているだけの15分なので、面白みはないかも。

動画編集ソフトの操作に慣れてないせいもあって、15分を編集するのに2時間ぐらいかかったかな。

右足の痛みがひどければ山梨で引き返すことも念頭に入れていたが、運転には支障が無いのでそのまま一気に中央道、長野自動車道、北陸道を走り抜ける。
お昼頃に黒部市を通過するところだったので、いったん高速を降りて「魚の駅 生地(いくじ)」で昼食にした。
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駐車場はほぼ満車だけれど、人が多いのは海産物の売店がある棟だけで、別棟にあるレストランの空席率は7割ぐらいだった。

オーダーしたのは海鮮丼。
さっぱりしたものが食べたい気分でなければ、白えびのかき揚げ丼と迷っていたところだ。
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丼だけでなく、カニが入った味噌汁も付いてくる。
このカニは富山で水揚げされた紅ズワイガニかな。
6月から禁漁期間に入ったはずだが、まだ在庫があったってことだろうな。

久しぶりに鮮魚を食った気がするな。
仕事帰りに刺身を出す居酒屋でちょっと飲んで帰るとか、もう3ヶ月もやってないな。
顔なじみのガールズバーもご無沙汰だ。

食ったら再び黒部ICから北陸道に乗って能登を目指す。
射水市の小杉ICで降りてしばらく街ナカを走り、高岡ICから能越自動車道に乗って北上。
13:45ごろ、七尾市の観音埼に到着した。
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能登半島のカタチを左手で表現すると、親指の先っぽにあたる岬である。
あわよくば富山湾越しの立山連峰が見えるかと期待したが、この日は雲が低かった。
薄日が差すほど薄い雲だけど、湾の向こう岸はほとんど見えなかった。

海辺から駆け上がること20分ほどで、七尾城跡に到着。


若干かすみがかっているが、七尾の町並みと能登島が見渡せた。
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ここはデートスポットにもってこいかもね。
柵の向こう側は背の高い雑草がきれいに刈られて、景色が見渡せるようによく整備されているし、静かにしていれば野鳥の声も賑やかだ。
夜は真っ暗になりそうだし城跡っていうロケーションも相まって、夜景にうっとりするどころではない肝試しスポットになってしまうかもしれないけれど。

わたしがドラレコのデータをスマホにコピーしている間、なぜか男女一組が自動車学校の教習車で来て、しばらく滞在していった。
なにこれ、特殊な個人教習?
その後のアダルトビデオ的な展開を妄想しつつ、城山近くにある多根ダムのダム湖を一周して七尾の市街地に下りたのは15:00すぎだった。

七尾駅の近くにあるビジネスホテルにチェックインして、すぐにベッドの上に倒れ込んで眠ってしまった。
晩メシまでにのと鉄道に乗りに行くつもりだったが、もう動きたくなくなった。

翌朝は7時過ぎにホテルを出て、のと鉄道七尾線を乗りつぶし。
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七尾から穴水までの全線を、田植えが終わって間もない朝の田園風景を眺めながらディーゼルカーに揺られて一往復した。
かつては穴水から先にも線路が延びており、輪島へ向かう路線と珠洲市の蛸島へ向かう路線に分かれていたが、それぞれ2000年と2005年に廃止された。
遺構もいくつか残されて再利用されているそうなので、あとで立ち寄ってみることにする。

その前に、ちらっと能登島に渡って寄り道。
三河ナンバーや名古屋ナンバーのバイクの一団とランデブーしながら、南の県道47号、能登島大橋から西の「ツインブリッジのと」へ抜けてみた。
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橋の上から能登島の白くてゴツゴツした岩肌が見えて、ちょっと良い景色だったので、ドライブレコーダーから一コマ切り出してみたが、カメラの設置位置が低くてほとんど橋の柵に隠れてしまった。
おまけにカメラが傾いているもよう。
画角の両端はケラレが生じて暗くなってるのものの、被写界深度を大きくとるためにアイリスを絞って、コンパクトボディに広角レンズを組み込んでいるのだからがんばっている方だと思う。

ゴーゴーカレーの看板に誘惑を受けつつ能登空港前の快走路を順調に飛ばし、11:30ごろ、道の駅 すずなりに到着。
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ここはかつての、のと鉄道能登線、古くは国鉄能登線の珠洲駅だった場所である。
ホームを残して、新たに建物が建てられていて、建物はなんとなく伝統的な日本の旅籠を連想させる外観だ。
ホームのベンチには女子高生3人がアイスキャンディーをしゃぶりながら閑談している。
ちょっとお願いして、近影もとらせてもらったけれど、空の雲が入道雲だったりしたら最高だったな。

道の駅から東、終点の蛸島駅跡近くにぽつんと車両が残されているらしいので向かってみた。
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それは駅でも何でもない、2 - 3mほどの高さの盛土の上にあった。
雑草で覆われてほとんどレールは見えないけれど、どうやらこの前後だけ線路が残されて、なぜか車両がここで雨ざらしにされているのである。
体重をかけると痛む右足を引きずりながら盛土の急斜面をよじ登ってみた。
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富士重工業製のNT200型で、同じ設計コンセプトの姉妹車は全国各地の第三セクターで運用されていて、わたしにとっては樽見鉄道や信楽高原鉄道で走ってるやつがなじみ深い。
最近だと天竜浜名湖線のに乗ったかな。
車内を覗いてみようとするが、さすがにレールと同じ高さからでは、窓を覗くことはできない。
が、前面貫通扉の一部が錆で破れて中を覗くことができた。
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錆びて幽霊列車のような外観とは異なり、車内はまだ現役かと思うほどきれいだ。
なんでも、数年前に地元の高校生が課外活動で、この車両を利用した廃列車カフェというのを開いたのだとか。
そんな課外活動クラブが代々受け継いで、車内だけでも定期的に掃除しに来たりしているのかもしれないな。

ここまで順調だったのに、盛土を下るところでやらかした。
痛む右足をかばいながら急斜面を下っていたら、左足を滑らせ、その拍子に右足で踏ん張ってしまった。
右足の痛みが全身を巡り、ヘルメットをかぶったまま、その場で四つん這いになって悶絶した。
脂汗をかきながら、はぁはぁと荒く呼吸をしていると、なんだかもう世界がヘルメットの中だけになってしまったかのような閉塞感だ。

やべー、このあとバイクを運転して帰れるのか?
なんてことを考えながら、感覚的には5分ぐらい四つん這いで痛みに耐えて(実際は30秒ぐらいかもしれない)ようやくよろよろと立ち上がってバイクに跨がった。
ズキズキと痛むがペダルはしっかり踏める。
右足を地面についたら立ちゴケは必至かも。

とかいいつつ、バイクを降りたら死んじゃう病のわたしは、バイクに乗ったらだいたいへっちゃらなので、しばらく走っていたら痛みを忘れた。
忘れた勢いで、またもや寂れたダムに寄り道してダート道を楽しんでしまった。


そして12:30ごろ、今回の旅の目的地である禄剛崎(ろっこうさき)に到着した。
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狼煙漁港の片隅にバイクを停めて海岸を歩こうとするが、バイクを降りたら死んじゃう病の発作が激しい。
普通に歩く3倍の時間をかけてこぶしぐらいの大きさの石がゴロゴロする海岸にたどり着いたものの、これ以上はむり。
この不安定なゴロゴロ石の上を歩くことを考えるとまた四つん這いの恐怖がよみがえる。
ヘタすりゃ波打ち際で半分水に浸かって、ウニか何かを密漁してると通報されるのがオチだろう。
土左衛門かと間違われて、引き上げに来てくれれば御の字だ。

岬の散策は諦めて、昼飯を食って帰ることにした。

北陸らしい海岸線を西に進んで13:15ごろ「庄屋の館」に到着。
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入母屋造りの古民家を利用しているので玄関の土間から座敷までの高低差が大きく、いまのわたしにはまさに敷居が高い。


簾越しに海が眺められる席に案内されて、オーダーしたのは「庄屋定食」。
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盆に並べられた刺身や小鉢に加えて、焼き魚がついてくる。
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本日の焼き魚はカマス。
基本的に淡泊で、この時期は身がパサつきがちなカマスの塩焼きには醤油をかけたくなるかと思ったが、塩加減もちょうどよく、ふっくらと焼かれていて美味かった。

店から出ると、ふと水平線上に小さな島がいくつか見えるのに気がついた。
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能登半島沖に島があるとは知らなかった。
後から調べてみると、右の方の、ほかより大きな島は舳倉(へぐら)島という名前で、人が住む集落があるらしい。
左の方の小島は荒三子(あらみこ)島や烏帽子島という無人島の集まりで、七ツ島というそうだ。

帰りの道すがら、北陸のダイナミックな海岸や、遠景に見える立山連峰をドライブレコーダーの手動録画で撮りながら帰ったつもりが、データは全部消えてしまっていた。
実はこの製品、衝撃録画のデータと手動録画のデータは同じフォルダに保存され、衝撃録画のデータ量がある一定量を超えると、手動録画も含めた古いデータから順に上書き保存されてしまうのである。
衝撃録画の感度は調節することができず、高速道路の高架の継ぎ目とかを越えた衝撃で次々と録画データが溜まってしまう。
やっぱり、常時録画と衝撃録画の同時有効化はいらないな。
帰宅してからすぐに衝撃録画の機能を無効に設定した。

さてと、つぎは梅雨が明けころをねらって、讃岐うどんでも食いに行ってみるかな。
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コメント 6

わたべ

ゴールデンウイークの敵討ちですね。
はるばる能登に行って電車(電ではないのかな)に乗るのは鉄ちゃんの性というやつでしょうか?
by わたべ (2020-06-11 20:32) 

nozzy

乗ることを楽しむ乗り鉄にとって、旅先の地方鉄道に乗るのは、ご当地グルメをいただくのと同じ感覚でしょうかね。
江ノ電や京阪京津線のように個性の強い路線はもちろん好きですが、一見たいした特徴のない路線も、あんがい新しい味を発見できておもしろいです。
by nozzy (2020-06-12 17:49) 

よっすぃ〜と

GWには一泊で能登半島巡りツーリングを予定していましたが、緊急事態宣言が解除されるか否かのタイミングだったので断念せざるを得ず、リベンジは来年かなぁ~と…
by よっすぃ〜と (2020-06-14 21:26) 

nozzy

コロナ禍がなければよっすぃ〜とさんとランデブーなんて可能性もあったんですね〜 残念
画像データは残ってませんでしたが、残雪の立山連峰が青空に映えてきれいでしたよ。
GW時期だともっと白く輝いているかもしれません。
by nozzy (2020-06-15 00:26) 

あおたけ

のと鉄道訪問、現行車両での乗り鉄も
ローカル線らしい旅情が感じられますが、
錆が浮いて朽ちた保存(?)車両がまた、
鉄ちゃんとしては複雑な心境ながらも、
哀愁を漂わせてアーティスティックですね☆
私がのと鉄道を乗り潰したときには、
この車両だったなぁ・・・(´〜`*)
富山湾の恵みの海鮮丼とカニ汁、うまそう♪
by あおたけ (2020-06-19 12:04) 

nozzy

旧車両がどうしてここに放置されているのか、不思議なんですよね〜
周りは草ボウボウの休耕田で、あおたけさんのおっしゃるようなノスタルジックアートの雰囲気を醸し出しています。
この風景を見越してここに留置したのかもしれませんね。
by nozzy (2020-06-21 19:26) 

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