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ここでの“ボンサイ”とは「盆栽」と「凡才」との二つの意味を含みます。盆栽のように、マシンをカスタマイズすること自体を楽しんでいる凡才人のブログです。

さらば三江線 [旅日記]

今年も年越しは島根の実家に帰省中。
帰省のついでに江津まで足を伸ばして、廃止直前の三江線を乗りつぶしてきた。
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今年は久しぶりに新幹線と特急「やくも」で帰省した。
やくもに乗るのは10年ぶりぐらいだろうか。
滋賀にいるときは深夜にクルマで一般道を走る方が効率がよかったし、神奈川に引っ越してからは2回ほど帰省したが、いずれも飛行機だった。
帰省するだけならば松江で降りるところ、今回は江津まで行くので出雲市駅で特急「スーパーおき」に乗り換えた。
出雲市駅に来たのもずいぶんと久しぶりで、いつの間にやら高架化されてコンパクトな駅になっていた。
出雲市駅を最後に訪れたのは、大社線のラストランのときだったか。
SLが運行されるというのを地元紙の山陰中央新報で読んで駆けつけ、出雲大社駅までC10が牽くレトロ調の客車に1往復乗りに来たのだった。
あの当時は出雲市駅に車両基地があって、寝台特急「出雲」や寝台急行「だいせん」なんかが停留していたっけな。
そんな出雲市駅から振り子式ディーゼル特急、キハ187系に揺られて小一時間で江津に到着した。
キハ181系のころに比べると、ずいぶん早くなった気がするなあ。
江津に着くと駅前は新しい建物ができてがらりと雰囲気が変わっていた。
4年前に開かれた小学校の同窓会以来なのだけど、そのときは駅前にビジネスホテルなんてなかった。
できたばかりのビジネスホテルにチェックインを済ませて、部屋でゆっくりしていると、小学校時代の友人からLINEで連絡が入る。
少人数で集まって、飲み会を開いてくれたのである。
その夜は深夜1時まで飲み明かし、近況報告やら昔話に花が咲いたのであった。

翌朝は5時半にホテルを出て、三江線の始発列車に乗った。
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1番線には出雲市行きのキハ47形、2番線には益田行きのキハ126形。
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朝の静寂の中、ガラガラとディーゼルエンジンのアイドリングが共演している。
そして3番線には三次行きの423D。
こいつに乗って三次まで3時間半、全線を乗車するのである。
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普段は2両編成らしいのだけど、この日は増結して3両になっていた。
なんでも地元紙によると、11月の紅葉シーズンには鉄道ファンが押し寄せて、ラッシュの山の手線並みに混み合ったのだとか。
増結しても車内はこの様子。
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女子もいるけど、おそらくこの中に地元民は1人もいない。
そして先頭車両のかぶりつき席はご覧の通り。
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子供連れで乗りに来ている人もいたけれど、とてもじゃないがかぶりつき席に子供は近づけない雰囲気である。
5:53に江津駅を発車すると1時間以上は夜が明けきらず、夜のとばりの中を走り続ける。
ようやく空が白み始めたのは石見川本駅についたころだった。
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江の川(ごうのがわ)に川霧がでるかと期待したけれど、この日はそういう条件に恵まれなかったようだ。
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江津を出てからこの方40km/hかそれ以下の速度で運転してきたが、浜原を過ぎたあたりから80km/hで疾走する。
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江津と同じように、このあたりの車窓は石州瓦の赤い屋根が多いのが特徴である。
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赤い屋根自体はそれほど珍しくないけれども、江津や浜田といった石見地方に来るとその比率が高く、ほかとは一線を画す町の景色を作り出している。

そしていよいよ宇津井(うづい)駅に到着。
地上から20mの高さにある、日本一高い駅なのだそうだ。
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夜中まで飲み明かした後の5時起きだったから居眠りして見逃すかと心配だったが、ここまでしっかり起きていることができた。
駅の反対側から窓を見下ろすとこんな感じ。
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山陰本線の保津峡駅から保津川を見下ろす方がずっと高いし、周りに山がない城北線の小田井駅のほうが高く感じるぐらいである。
駅に一番近いお宅の庭では、お子さんが赤い旗を振って見送ってくれていた。
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そんなこんなで3時間半、どうにか居眠りしないで三次に到着した。
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わたしたちが降りると折り返し、石見川本行きとなるのだが、いったん車内を清掃するため乗降口を閉じる。
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その間にも乗車待ちの人たちが列を作り、通勤時間帯の横浜市営地下鉄より長い列になっている。(扉の数も車両の数も違うけどね)

三次では次の列車まで3時間半待ち。
ちょっくらレンタカーを借りて三次市内をぶらぶらとドライブして過ごした。
そして芸備線の普通 備後落合行き356Dに乗車。
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乗車率は8割ぐらい。
地元で普段のアシとして乗っている風の人は三分の一程度で、それ以外はいかにも「鉄」という雰囲気だ。
1時間以上かけて14:21に備後落合に到着。
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終点まで乗ってた人たちの中にはもう地元のような雰囲気の人たちはいない。
備後落合駅では、おじさんが駅の歴史やら木次線の特徴であるスイッチバックの説明をしてくれている。
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この転車台はかつてSLが走っていたところに活躍したもので、その当時は駅の職員も120人ぐらいいて備後落合はちょっとした賑わいだったらしい。
そんなハナシを聞いたあと、木次線の普通 14:41発 宍道(しんじ)行き1462Dに乗って宍道まで向かう。
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乗客はほとんどが鉄男旅行者風。
たまに地元の人が乗ってきて、2〜3駅先で降りていく。
120形2次車のロングシートに座ってまるっと3時間乗って17:36に宍道到着。
ここから松江までは山陰本線の普通 米子行き142D。
三江線、芸備線、木次線と、全部キハ120形だったが、シメはキハ47形。
やっぱ気動車はこれが一番安心する。
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いつになく乗車率の高いキハに揺られて13時間の旅は終了。
年越しはいつものようにねこと過ごして寝正月の予定である。
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みなさまよいお年を。
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コメント 3

あおたけ

nozzyさん
新年あけましておめでとうございます。
(=゚∇゚)ノ アケオメ☆
ご帰省の際に三江線に乗られたのですね。
夜明けの江の川情景や宇津井の高さから見下ろす
赤瓦の家々が印象的です。
三江線も残すところ3か月・・・
ファンの混雑ぶりが終幕の近さを物語っていますね。



by あおたけ (2018-01-02 20:39) 

TS

あけましておめでとうございます。
本年も乗り鉄、ツーリング、ドライブのレポなど、nozzyさんらしい
軽妙な記事を楽しみにしております♪

宇津井駅、もしかして『ゆく年くる年』に出ていた駅でしょうか?
高架橋の上に列車が停車してる…と思ったら、まもなく廃線になる
鉄道の駅だと解説されていた気がします。
地元に人に愛されていても、人口減少の時代にローカル鉄道の
生き残りは大変なんでしょうね…。
by TS (2018-01-02 23:29) 

nozzy

>あおたけさん
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
もしや、山手線並みの混雑で3時間半も立ち乗りか、あるいは通しで乗るのはわたしだけか、そのどちらかになると予想していたのですが、増結してくれたおかげで普通に鉄道旅が楽しめました。
冬休みを使ってローカル線に乗りに来る方も多いようで、木次線でさえもほぼ満席でした。
三江線の線路や駅舎がどのように使われていくのか、今後も目が離せません。

>TSさん
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
おっしゃるとおり、宇津井駅は『ゆく年くる年』で紹介されていましたね。
あんなイベントがあるなら年越しに行けばよかったと思ったのもつかのま、地元の方たちによる貸し切りでした。
クルマでの移動が楽になる一方で、廃線が進むのはやるせない気持ちです。
ドイツのように道路網も鉄道網も充実した国にするのはどうすればいいのか、真剣に考えてしまいます。
by nozzy (2018-01-09 21:40) 

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