ここでの“ボンサイ”とは「盆栽」と「凡才」との二つの意味を含みます。盆栽のように、マシンをカスタマイズすること自体を楽しんでいる凡才人のブログです。
標高1695m [ムルティストラーダ日記]
10月28日月曜日は休暇を取ってもみじ狩り。
奈良県上北山村の大台ヶ原に行ってきた。
山の上は先週か先々週ぐらいが紅葉のピークだったようで、それを狙って行きたかったのだけど天気が許してくれなかった。
大台ヶ原は日本で一、二を争うほど降水量の多い場所。
特に10月は台風の影響もあって雨が降る確率が高い。
過去に何度か登山口まで来たことはあるのだけど、いつも濃い霧を伴った雨に阻まれて引き返していた。
視界が悪い状況下で初めての山に登るほど、技量と体力に自信はない。
台風が通過した直後の28日なら、熊野灘から大台ヶ原に吹き上がる風も弱まって、降水確率も低くなるに違いない。
台風の動きを予測して休暇を取ったら大当たり。
雲ひとつ無い快晴に恵まれた。
自宅を出たのは夜半過ぎの2:30ごろ。
2:00ちょうどには出るつもりだったのに寝過ごした。
顔を洗う時間も惜しんでムルティストラーダにまたがると、マルチファンクションディスプレイの外気温計は7℃を表示している。
寒い寒い。
まだ体が慣れていないせいもあるだろうけど、夜露が降りて寒さを倍増させているようだ。
伊賀上野から名阪国道を走るとムルティが凍結注意の表示を示す。
外気温は3℃。
さーむーいー
急いで身支度したものだから、冬手袋を履いてこなかった。
グリップヒーター全開でやっと耐えられる寒さだ。
ジャケットも冬用を着て来りゃよかったな。
針ICから南下して、登山口がある大台ヶ原ビジターセンターの駐車場に到着したら5:00を回っていた。
日の出の時間は6:10ごろ。
山頂からご来光を拝むためには、あまりのんびりしてられない。
靴を履き替え、ジャケットを着替え、オーバーパンツを脱いで支度して、歩き始めたのは5:30だった。
大台ヶ原で最高地点の日出ヶ岳(ひでがたけ)まで、標準コースタイムは40分とか。
ぎりぎり間に合うか?
GPSロガーのスイッチを入れることさえ忘れて、都心を闊歩するビジネスマンのごとき早足で歩く。
登山口から日出ヶ岳までのルートは登山道と言うよりも、むしろ遊歩道と呼べるほどきれいに整備されていて、20数年前から使ってるクリプトン球ヘッドランプの明かりだけでも不安なく歩ける。
昼間だったら1時間ぐらい歩き続けられる靴ならどんな靴を履いていても往復できそうだ。
5:50、日出ヶ岳と正木峠の鞍部にある展望デッキに到着。
トワイライトタイムにうっとり…なんてしてるヒマはない。
山頂まであと一息。
だが、ここからがきつい。
木製の急階段が一気にモチベーションを失わせる。
歩きやすい遊歩道でも早足で登ってきたからスタミナがそろそろ限界だ。
息が切れて写真もブレブレ。
もう、さっきの鞍部で日の出を迎えちゃおうぜ…
いや!まだあと15分ある!
這っても15分あれば着けるはず!
なんとか気力を振り絞り、6:00になる前に山頂展望台に到着した。
眼下に広がる熊野灘。
その彼方の水平線からご来光がまぶしーぃ。
西の谷を見下ろすと雲海と真っ赤に染まるシロヤシオ。
いやー、がんばった甲斐があった。
これにて三重県で一番高い山を制覇。
日出ヶ岳の山頂は奈良県と三重県の県境にあり、三重県の一番高いピークとなっているのだ。
運が良ければここから富士山のシルエットも見られるというのだけれど、さすがにそう簡単にはチャンスは訪れないか。
ともあれ、今日の目標の1つは達成。
次の目標に向けて歩き出す。
さきほどの鞍部まで戻ると分岐があるので、来た道へ戻らずに正木峠の方向へ南下する。
正木峠を越えると荒涼とした正木平。
なんでも、伊勢湾台風で森の木々がなぎ倒されて以来、こんな風景が続いているのだとか。
尾鷲辻まで続くなだらかな木道には霜が降り、小動物の足あとが残る。
キツネにしては足も歩幅も小さいかな。
アナグマかイタチだろうか。
牛石ヶ原からは石畳の遊歩道が伸びる。
なだらかな起伏と見晴らしの良いミヤコザサの原っぱを抜ける平穏な山歩きは気持ちがいい。
これなら何時間でも飽きずに歩いていられそうだ。
さらに南下すると遊歩道は森の中を進み、分岐にたどり着く。
分岐を南に進むと、これまでの快適な遊歩道とは一転、ガレた細い道筋になる。
木々の間からは深い谷の対岸の崖も見え、どこからともなくサーと滝の落ちる音がこだましている。
そろそろ2箇所目の目的地が近づいてきたようだ。
ガレた道の先で視界を遮る、こんもりとした大岩をよじ登ると背筋が寒くなる光景が広がっていた。
7:30ごろ、大蛇嵓(だいじゃぐら)に到着。
大きなヘビの背に乗って見下ろすようだからこのように名付けられたのだとか。
両脇は落差800mの断崖絶壁。
こんなに足のすくむ思いはユングフラウのスフィンクス天文台を訪れたとき以来だろうか。
しかしスフィンクスのベランダは立っている場所が水平で、しっかりした柵に囲まれていたからまだマシだ。
ここ大蛇嵓は表面がツルツルして傾斜のきつい岩の上に立つ。
すってーんと転んで勢い余れば、疎らな支柱に鎖2本が渡されただけの柵なんてすり抜けて、遥か下まで滑落してしまいそうだ。
真下に谷底が見えるわけではないのに腰が引けてしまう。
朝靄がかかりはじめたから、レンズを替えてPLフィルターを使おうとしたけど思いとどまった。
この状況、うっかりカメラを持つ手を滑らせれば『カリオストロの城』の“尖塔ジャンプ”を再現しかねない。
跳んだ先にお姫様は居ないけどな。
もうちょっと日が昇ってから来たほうが谷あいの紅葉が色鮮やかに輝いていたかもしれないな、なんてことを考えながら岩の斜面に腰を下ろして、スリリングな景色を見渡すことしばし。
なかなか日が当たらないのであきらめて、森の分岐まで戻って西の谷に向かって下ることにした。
シャクナゲトンネルの下り坂は、初夏に来たら見事な花を見せてくれそうだ。
木の根が這う森の道を、足元ばかりを見ながら坂を下っていると、ドドッドドッと跳ねる足音に驚かされる。
近ごろはトレイルランニングとやらが流行っているそうで、山道を登っているとイノシシと紛うばかりに一目散に駆け下りてくる連中に出くわすことがある。
浮き石を蹴り転がしながらドスドスと迫ってくるから、はね飛ばされそうで身の危険すら感じるのだ。
ハッと身構えながら辺りを見回すと。
ニホンジカの白い尻が笹藪の向こうで跳ねていた。
あーびっくりした。
いや、まあ、びっくりしたのはお互い様か。
8:10頃、シオカラ谷を渡る吊り橋に着いた。
せせらぎの音と差し込む朝の木漏れ日にうっとり。
ここで終われば楽なのだけど、ここから最後の一踏ん張り。
歩き疲れた終盤に急な石段が待ち構えていた。
ひざを90°以上曲げるほど大きな段差を延々と登る。
ヒイヒイいいながら登り切り、8:50分にムルティが待つ駐車場に戻ってきた。
駐車場はこれから山に入る人たちで賑わっている。
この季節、週末になると約200台を収容できる広い駐車場が満車になるほど人気のある山なのだとか。
自家用車やバスで標高の高いところまで来られるし、天気さえ良ければ歩きやすい山だから、それももっともな話か。
わたしもまた別の季節にも来てみたいと思った。
一息ついたら撤収して、来た道を戻る。
大台ヶ原へアクセスする奈良県道40号は「大台ヶ原ドライブウェイ」とも呼ばれていて、1981年までは有料道路だったそうだ。
“ドライブウェイ”というわりに道幅は狭い。
センターライン外あるのは一部だけで、乗用車同士がすれ違うのには十分だけど乗用車と路線バスが対向したら、どちらか一方が停車しないとすれ違えそうにない区間がほとんどだ。
とはいえ、くねくねのリズムはいいし、舗装は比較的良く整えられていて、見晴らしも良い。
ブラインドカーブの途中にクルマを停めて、道の真ん中にカメラ三脚を立ててるボケジジイさえいなければ気持ちよく走れそうだ。
でも、大台口トンネルから下の区間、R169から入ってしばらくは、北側斜面の薄暗くて狭い険道だ。
軽自動車同士でもすれ違いが困難なほど狭い。
湿っぽくて、苔でアスファルトが緑色になっているところもある。
ドライブウェイという名前に期待を抱いたままR169から入ってくると、道を間違えたかと戸惑うこと請け合いだろう。
R169は吉野川の清流に沿った高速クネクネが続く田舎の国道。
混んでいなければ飽きずに走れる。
途中にループ区間があるが、半分以上がトンネルなので「奥出雲おろちループ」のような豪快な景観はない。
R169を北上して10:30、大滝ダムのすぐ下流にある川上村の大滝という集落で昼飯にした。
吉野の郷土料理と言えば柿の葉寿司。
シメサバのたぐいが大好物のわたしは、お昼頃に京都駅のキヨスクに寄る機会があれば、たいてい柿の葉寿司を買って新幹線に乗る。
本場の手作り柿の葉寿司は見逃すわけにはいかない。
立ち寄ったのは「松屋」という小さなお店。
大きな地図で見る
自家製の柿の葉寿司を箱詰めにして販売する傍ら、テーブル4つほどの地場食堂もやっている。
さすがに平日のこの時間に飯を食いに来る客は居なくて、テーブルの1つは女将さんが柿の葉を選別する作業場と化している。
茶がゆと柿の葉寿司がセットになったメニューも興味があったけど、厨房はまだ準備中の雰囲気だったので遠慮して、柿の葉寿司だけを注文した。
作業を続ける女将さんと世間話をしながら、皿に7つ積まれた柿の葉寿司をいただく。
今年は柿の葉の紅葉が遅いとのことで、いつもならこの時期の柿の葉寿司は赤く色づいた葉っぱに包んで出すところなのに、まだほとんどが緑の葉っぱなのだそうだ。
手作りの柿の葉寿司のお味は、駅のキヨスクで買う物とはまるで違う。
鯖は酢締めではなく塩で締めてあり、これが伝統的な柿の葉寿司なのだろうけど、わたしにとっては新しい。
いくらシメサバが好物とは言え、あんまり酸っぱいとたくさんは食べられない。
吉野の手作り柿の葉寿司は素朴で柔らかい味がして、いくらでも食べられそうだった。
また来よう。
ほかの季節の大台ヶ原を見に来て、この柿の葉寿司をまた食べに来よう。
奈良県上北山村の大台ヶ原に行ってきた。
山の上は先週か先々週ぐらいが紅葉のピークだったようで、それを狙って行きたかったのだけど天気が許してくれなかった。
大台ヶ原は日本で一、二を争うほど降水量の多い場所。
特に10月は台風の影響もあって雨が降る確率が高い。
過去に何度か登山口まで来たことはあるのだけど、いつも濃い霧を伴った雨に阻まれて引き返していた。
視界が悪い状況下で初めての山に登るほど、技量と体力に自信はない。
台風が通過した直後の28日なら、熊野灘から大台ヶ原に吹き上がる風も弱まって、降水確率も低くなるに違いない。
台風の動きを予測して休暇を取ったら大当たり。
雲ひとつ無い快晴に恵まれた。
自宅を出たのは夜半過ぎの2:30ごろ。
2:00ちょうどには出るつもりだったのに寝過ごした。
顔を洗う時間も惜しんでムルティストラーダにまたがると、マルチファンクションディスプレイの外気温計は7℃を表示している。
寒い寒い。
まだ体が慣れていないせいもあるだろうけど、夜露が降りて寒さを倍増させているようだ。
伊賀上野から名阪国道を走るとムルティが凍結注意の表示を示す。
外気温は3℃。
さーむーいー
急いで身支度したものだから、冬手袋を履いてこなかった。
グリップヒーター全開でやっと耐えられる寒さだ。
ジャケットも冬用を着て来りゃよかったな。
針ICから南下して、登山口がある大台ヶ原ビジターセンターの駐車場に到着したら5:00を回っていた。
日の出の時間は6:10ごろ。
山頂からご来光を拝むためには、あまりのんびりしてられない。
靴を履き替え、ジャケットを着替え、オーバーパンツを脱いで支度して、歩き始めたのは5:30だった。
大台ヶ原で最高地点の日出ヶ岳(ひでがたけ)まで、標準コースタイムは40分とか。
ぎりぎり間に合うか?
GPSロガーのスイッチを入れることさえ忘れて、都心を闊歩するビジネスマンのごとき早足で歩く。
登山口から日出ヶ岳までのルートは登山道と言うよりも、むしろ遊歩道と呼べるほどきれいに整備されていて、20数年前から使ってるクリプトン球ヘッドランプの明かりだけでも不安なく歩ける。
昼間だったら1時間ぐらい歩き続けられる靴ならどんな靴を履いていても往復できそうだ。
5:50、日出ヶ岳と正木峠の鞍部にある展望デッキに到着。
トワイライトタイムにうっとり…なんてしてるヒマはない。
山頂まであと一息。
だが、ここからがきつい。
木製の急階段が一気にモチベーションを失わせる。
歩きやすい遊歩道でも早足で登ってきたからスタミナがそろそろ限界だ。
息が切れて写真もブレブレ。
もう、さっきの鞍部で日の出を迎えちゃおうぜ…
いや!まだあと15分ある!
這っても15分あれば着けるはず!
なんとか気力を振り絞り、6:00になる前に山頂展望台に到着した。
眼下に広がる熊野灘。
その彼方の水平線からご来光がまぶしーぃ。
西の谷を見下ろすと雲海と真っ赤に染まるシロヤシオ。
いやー、がんばった甲斐があった。
これにて三重県で一番高い山を制覇。
日出ヶ岳の山頂は奈良県と三重県の県境にあり、三重県の一番高いピークとなっているのだ。
運が良ければここから富士山のシルエットも見られるというのだけれど、さすがにそう簡単にはチャンスは訪れないか。
ともあれ、今日の目標の1つは達成。
次の目標に向けて歩き出す。
さきほどの鞍部まで戻ると分岐があるので、来た道へ戻らずに正木峠の方向へ南下する。
正木峠を越えると荒涼とした正木平。
なんでも、伊勢湾台風で森の木々がなぎ倒されて以来、こんな風景が続いているのだとか。
尾鷲辻まで続くなだらかな木道には霜が降り、小動物の足あとが残る。
キツネにしては足も歩幅も小さいかな。
アナグマかイタチだろうか。
牛石ヶ原からは石畳の遊歩道が伸びる。
なだらかな起伏と見晴らしの良いミヤコザサの原っぱを抜ける平穏な山歩きは気持ちがいい。
これなら何時間でも飽きずに歩いていられそうだ。
さらに南下すると遊歩道は森の中を進み、分岐にたどり着く。
分岐を南に進むと、これまでの快適な遊歩道とは一転、ガレた細い道筋になる。
木々の間からは深い谷の対岸の崖も見え、どこからともなくサーと滝の落ちる音がこだましている。
そろそろ2箇所目の目的地が近づいてきたようだ。
ガレた道の先で視界を遮る、こんもりとした大岩をよじ登ると背筋が寒くなる光景が広がっていた。
7:30ごろ、大蛇嵓(だいじゃぐら)に到着。
大きなヘビの背に乗って見下ろすようだからこのように名付けられたのだとか。
両脇は落差800mの断崖絶壁。
こんなに足のすくむ思いはユングフラウのスフィンクス天文台を訪れたとき以来だろうか。
しかしスフィンクスのベランダは立っている場所が水平で、しっかりした柵に囲まれていたからまだマシだ。
ここ大蛇嵓は表面がツルツルして傾斜のきつい岩の上に立つ。
すってーんと転んで勢い余れば、疎らな支柱に鎖2本が渡されただけの柵なんてすり抜けて、遥か下まで滑落してしまいそうだ。
真下に谷底が見えるわけではないのに腰が引けてしまう。
朝靄がかかりはじめたから、レンズを替えてPLフィルターを使おうとしたけど思いとどまった。
この状況、うっかりカメラを持つ手を滑らせれば『カリオストロの城』の“尖塔ジャンプ”を再現しかねない。
跳んだ先にお姫様は居ないけどな。
もうちょっと日が昇ってから来たほうが谷あいの紅葉が色鮮やかに輝いていたかもしれないな、なんてことを考えながら岩の斜面に腰を下ろして、スリリングな景色を見渡すことしばし。
なかなか日が当たらないのであきらめて、森の分岐まで戻って西の谷に向かって下ることにした。
シャクナゲトンネルの下り坂は、初夏に来たら見事な花を見せてくれそうだ。
木の根が這う森の道を、足元ばかりを見ながら坂を下っていると、ドドッドドッと跳ねる足音に驚かされる。
近ごろはトレイルランニングとやらが流行っているそうで、山道を登っているとイノシシと紛うばかりに一目散に駆け下りてくる連中に出くわすことがある。
浮き石を蹴り転がしながらドスドスと迫ってくるから、はね飛ばされそうで身の危険すら感じるのだ。
ハッと身構えながら辺りを見回すと。
ニホンジカの白い尻が笹藪の向こうで跳ねていた。
あーびっくりした。
いや、まあ、びっくりしたのはお互い様か。
8:10頃、シオカラ谷を渡る吊り橋に着いた。
せせらぎの音と差し込む朝の木漏れ日にうっとり。
ここで終われば楽なのだけど、ここから最後の一踏ん張り。
歩き疲れた終盤に急な石段が待ち構えていた。
ひざを90°以上曲げるほど大きな段差を延々と登る。
ヒイヒイいいながら登り切り、8:50分にムルティが待つ駐車場に戻ってきた。
駐車場はこれから山に入る人たちで賑わっている。
この季節、週末になると約200台を収容できる広い駐車場が満車になるほど人気のある山なのだとか。
自家用車やバスで標高の高いところまで来られるし、天気さえ良ければ歩きやすい山だから、それももっともな話か。
わたしもまた別の季節にも来てみたいと思った。
一息ついたら撤収して、来た道を戻る。
大台ヶ原へアクセスする奈良県道40号は「大台ヶ原ドライブウェイ」とも呼ばれていて、1981年までは有料道路だったそうだ。
“ドライブウェイ”というわりに道幅は狭い。
センターライン外あるのは一部だけで、乗用車同士がすれ違うのには十分だけど乗用車と路線バスが対向したら、どちらか一方が停車しないとすれ違えそうにない区間がほとんどだ。
とはいえ、くねくねのリズムはいいし、舗装は比較的良く整えられていて、見晴らしも良い。
ブラインドカーブの途中にクルマを停めて、道の真ん中にカメラ三脚を立ててるボケジジイさえいなければ気持ちよく走れそうだ。
でも、大台口トンネルから下の区間、R169から入ってしばらくは、北側斜面の薄暗くて狭い険道だ。
軽自動車同士でもすれ違いが困難なほど狭い。
湿っぽくて、苔でアスファルトが緑色になっているところもある。
ドライブウェイという名前に期待を抱いたままR169から入ってくると、道を間違えたかと戸惑うこと請け合いだろう。
R169は吉野川の清流に沿った高速クネクネが続く田舎の国道。
混んでいなければ飽きずに走れる。
途中にループ区間があるが、半分以上がトンネルなので「奥出雲おろちループ」のような豪快な景観はない。
R169を北上して10:30、大滝ダムのすぐ下流にある川上村の大滝という集落で昼飯にした。
吉野の郷土料理と言えば柿の葉寿司。
シメサバのたぐいが大好物のわたしは、お昼頃に京都駅のキヨスクに寄る機会があれば、たいてい柿の葉寿司を買って新幹線に乗る。
本場の手作り柿の葉寿司は見逃すわけにはいかない。
立ち寄ったのは「松屋」という小さなお店。
大きな地図で見る
自家製の柿の葉寿司を箱詰めにして販売する傍ら、テーブル4つほどの地場食堂もやっている。
さすがに平日のこの時間に飯を食いに来る客は居なくて、テーブルの1つは女将さんが柿の葉を選別する作業場と化している。
茶がゆと柿の葉寿司がセットになったメニューも興味があったけど、厨房はまだ準備中の雰囲気だったので遠慮して、柿の葉寿司だけを注文した。
作業を続ける女将さんと世間話をしながら、皿に7つ積まれた柿の葉寿司をいただく。
今年は柿の葉の紅葉が遅いとのことで、いつもならこの時期の柿の葉寿司は赤く色づいた葉っぱに包んで出すところなのに、まだほとんどが緑の葉っぱなのだそうだ。
手作りの柿の葉寿司のお味は、駅のキヨスクで買う物とはまるで違う。
鯖は酢締めではなく塩で締めてあり、これが伝統的な柿の葉寿司なのだろうけど、わたしにとっては新しい。
いくらシメサバが好物とは言え、あんまり酸っぱいとたくさんは食べられない。
吉野の手作り柿の葉寿司は素朴で柔らかい味がして、いくらでも食べられそうだった。
また来よう。
ほかの季節の大台ヶ原を見に来て、この柿の葉寿司をまた食べに来よう。
ご来光を山頂で迎えることができて、良かったですね!
眼下に広がる雲海や、朝日に照らされた紅葉もきれいで、
本当にこれは寒いなか頑張って登ってきた甲斐がありますよね(^^)
本場の柿の葉寿司も美味しそうです。
by あおたけ (2013-11-03 11:28)
黄色い橋の先は、シルエットからすると下りながら右へカーブしてるのでしょうか?
パッと見途切れているように見えるので、どうなってんの?って思っちゃいました(^^;
by よっすぃ〜と (2013-11-03 16:10)
>あおたけさん
大台ヶ原はこんなに天気が良くなる日はなかなかないのでがんばってしまいました。
ここから富士山のシルエットを見ようと思うと、冬を待たないとならないとか。
さすがにバイクで来るのは危険なので、そのチャンスがあったら今度はクルマで来ようと思います。
>よっすぃ〜と さん
たしかに橋の先で下っているようにも見える影ですね。
右カーブはおっしゃるとおりなのですが勾配はなく平坦です。
急カーブになっているのでそう見えるのでしょう。
ここを夜の暗い時間に走ると不思議な感覚になります。
この写真はトンネルの出口を背にして撮っているのですが、トンネルから出てすぐ橋がかかり、その先が闇に吸い込まれるように見えなくなって、正面に奥の吊り橋が見えるんです。
走ってても、どうなってんの?っておもっちゃいます。
by nozzy (2013-11-03 21:58)
ご来光間に合ってよかったですね。
頑張れば報われるんだ。うんうん。
尖塔ジャンプ!
両脇が800mの断崖絶壁は近付くと足がガクぶるしそうです(笑)
ここで、あのジャンプかあ。でも尖塔ないし、となると・・・。もう
飛ぶしかないですね!(笑)
by うえいぱうわ (2013-11-04 20:48)
信じてくれる女の子がいないので、おじさまは空を飛べないのです。(泣)
それどころか、赤いバラさえ出せません。
by nozzy (2013-11-05 08:37)
紀伊半島の山間部って神秘的で惹かれますよね。
以前、新宮から大和八木まで168号線に沿って路線バスで縦断したことがありますが、バス停の名前1つ1つにもいわくありそうでおもしろかったです。
by サットン (2013-11-07 10:00)
いやホント、神秘的という言葉がぴったりですね。
168号線のバスってたしか、路線距離が日本一長い路線バスでしたっけ。
なかなか魅力的なバス旅ですねえ。
by nozzy (2013-11-07 12:30)